遺言とは、ご自身の所有している財産を、死亡した後に誰に譲るのかを事前に意思表示しておくことです。遺言をすることで、死後に相続を巡ったトラブルを防止することができます。
遺言の種類として、民法は、一般的な遺言の方式として普通方式遺言を3種類規定しています。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つです。一般的に皆さんがイメージされるような普通の遺言が自筆証書遺言です。ここでは公正証書遺言についてご紹介します。
公正証書遺言は、公証人という法律専門の役人の方に作成してもらう形式の遺言のことで、民法969条に定められています。公証役場にて、遺言者が口頭で話した内容を公証人(法律の専門家である役人)に筆記してもらい作成します。遺言書の中でも、公証人が関与するため、内容面や形式面の不備を避けることができますし、完成した遺言は公文書として取り扱われるため、法的にも高い証明力をもちます。さらに公正証書は公証役場で保管されるため紛失のリスクが低いです。公証役場を利用するため費用はかかりますが、自筆証書遺言よりも有効性が認められやすく、トラブル防止により役立つといえます。
公正証書遺言が有効となるためにはどのようなことが必要でしょうか。
1点目は、遺言者に遺言能力という遺言内容を理解する能力です。
2点目は、遺言者の年齢が15歳以上であることです(民法961条)。
3点目は、作成時に立会いをする証人が2人以上であることです(民法969条1号)。未成年や推定相続人、遺贈を受ける者、推定相続人、遺贈を受ける者の配偶者及び直系血族等は立ち会い証人になることができません。
4点目は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授することです(民法969条2号)。公正証書遺言を作成する際には、遺言者が、遺言の内容を公証人に対して口頭で述べなければなりません。
5点目は、公証人による口授の筆記と公証人による遺言者・証人に対する筆記内容の読み聞かせ、閲覧をさせることです(民法969条3号)。
6点目は、遺言者・証人がその筆記内容が正確であることを確認して、各自で署名・押印をすることです(民法969条4号)。
最後に、公証人が以上の各事項の方式に従って作成されたものであることを付記して、公証人による署名・押印がなされることです(民法969条5号)。
公正証書遺言の作成については、公証人が関わるため形式面ではトラブルになりにくいですが、公証人はその内容が遺言者の望みに沿った内容であるかどうかはしっかりアドバイスはくれません。また、遺言の立会い証人に誰がなるかという問題もあります。弁護士にご相談いただければ、法的に有効かつ遺言者に寄り添った内容の公正証書を安心してお作りすることができます。
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