現代においてネットでの風評被害が最も影響があり、その分深刻です。お店に行く場合でも今ではあらかじめSNSやインターネットなどで口コミを検索する人が多いでしょう。そのため、検索されたクチコミに事実とは異なった情報が出回ってしまうと客足が減少し、売り上げも下がります。また、提携している取引先へのイメージもダウンしかねません。現代のネット社会ではこのようなことは奇しくも日常茶飯事なものとなってしまいました。そこで、何らかの風評被害対策を立てる必要が出てくるわけです。
まず考えられる風評被害対策は、ネガティブな投稿や事実に反した投稿を削除することです。これは弁護士に依頼して行うことが一般的です。具体的には、風評被害を起こすような投稿を名誉損害のものとして訴えることになります。なお、現在ではネットでの被害について、プライバシーの侵害や社会的評価の客観的低下など、侵害情報の流通によって権利が侵害されたことが明らかであるときには発信者情報開示請求を裁判所に申し立てられます(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項1号)。
発信者の情報開示請求は収入印紙2000円、送達用の切手代1000円前後の他に担保金として10万円〜30万円の費用が必要となります。担保金は裁判所の許可が下りれば戻ってくることになります。この発信者情報開示請求により、発信者のIPアドレスを特定し、侮辱罪を親告することもできます。侮辱罪は被害者による告訴がなければ公訴は提起されません(刑法232条1項)。また、侮辱罪が成立すると、民事訴訟でも加害者から慰謝料請求が認容されやすくなる傾向にあるようです。ただし、名誉毀損と比べて侮辱では認められる慰謝料はかなり少なくなります。
削除をするためにはある程度の経済・時間的コストがかかります。そこで、投稿を消すことではなく、投稿を目立たなくするようにさせるということも風評被害対策になるでしょう。具体的には、風評被害対策業者に依頼して、社名や商品名で検索する際に風評被害を呼ぶような投稿を、新しいウェブサイトを作ったり、他のウェブサイトに掲載してもらうことで、相対的にネガティブな投稿の検索順位を下げる方法です。また、いい口コミを集めることも方法としてはありますが、「いい口コミ」それ自体が事実に反したものになってしまわないように注意しないといけません。
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風評被害対策
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