自分の旦那や妻が浮気をしていたけれども、その浮気相手だけに慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。
そもそも慰謝料請求とはどのようなものかというと、民法上の精神的損害という不法行為に対する損害賠償請求のことを一般的に指します(民法710条参照)。ですので、論理的には浮気相手が旦那ないしは妻と浮気したことにより精神的損害を被ったことが示されれば、浮気相手だけの慰謝料請求は認められるはずです。要するに、浮気相手だけに慰謝料請求をすること自体は何ら問題はありません。問題は、その訴えを裁判所が認めてくれるかどうかです。
浮気相手に対する慰謝料請求を規定したものは明文上ないため、最高裁判所の裁判例(判例)を参考にしてみていくしかないです。これによると、まず浮気によって侵害された権利・法益は夫婦の「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」であるとされます(最判編成8年3月26日民集50巻4号993頁)。つまり、すでに婚姻関係が破綻していたり、夫婦間のコミュニケーションが疎遠であった場合には浮気相手に対して慰謝料を請求しても裁判所は認めてくれません。
そして浮気相手が不法行為責任を負うのは、「単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られる」されます(最判平成29年2月19日民集73巻2号187頁)。このような判例の流れを見ると、よほど浮気相手が悪質な理由で浮気に及ぼうとしない限り慰謝料請求は認められないと考えた方が良いでしょう。
ただし、裁判所も事案の種々の要素を加味して判決をします。例えば旦那が単身赴任をしていて妻の目に届かないところで浮気をしていたことだったり、浮気相手に子がいることなど、様々な事情を考慮して判決が下されます。ですので、必ずしも浮気相手だけに対する慰謝料請求が認められない、ということではありません。慰謝料の相場も変わってきます(だいたい100万円〜300万円です)。
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浮気相手だけに慰謝料請求することは可能?
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